赤猪子 雄略天皇18.雄略天皇
18-3.赤猪子


雄略天皇はある時、三輪川に遊びに来ました。川のほとりで洗濯している童女に会いました。あまりにも美しかったので、さっそく求婚。

雄略天皇「オマエ、誰の子?」
美童女「引田部の赤猪子(あかいこ=アカイコ)と申します」
雄略天皇「オマエ、嫁に行っちゃダメ。大きくなったら、宮中に呼んでやるから」
アカイコ「はい」

赤猪子(あかいこ=アカイコ)縦480pxそうしてアカイコちゃんはお呼びの声がかかるまでひたすら待ちます。待ちすぎて、とうとう80歳を超え、立派なおばあさんになってしまいました。

今さら天皇の寵愛を受けられるとは思いませんでしたが、それでも天皇に一言言いたくて、以前もらっていた結婚のしるしを持たせて、天皇と面談できるよう取り計らってもらいました。

雄略天皇「きったない婆だな~、オマエ誰?」
雄略天皇縦480pxアカイコ「むかーし、“嫁に行っちゃダメ”と言われて、宮中に呼ばれるのを今か今かと待っておりましたらこんな顔になっちゃいました」
雄略天皇「……(そんなことあったけ? いろんな女に声かけすぎてわからね~)」
アカイコ「今さらお側に置いていただけるとは思っていませんが、私の気持ちだけでも伝えたぐっで…」
雄略天皇「すっかり忘れておったわ。ごめんごめん。いたずらに盛りの年を過ごさせてしまって、可哀想なことをしたの~」

その心意気に免じて、一度は抱いてやりたいと思った雄略天皇でしたが、さすがに“勃たず”。。その代り歌を送りました。

みもろの山の神聖な樫の木のもと、
その樫の木のもとには、
畏れ多くて近寄れない
そのように、畏れ多くて近寄れない
樫原の乙女よ

超訳(雄略天皇、心の叫び)

さっすがに、無理だわ。
ごめんごめん。
ホント“畏れ多くて近寄れない”レベル。

また歌いました。

引田の、
若々しい栗の実がたくさん取れる原よ~
その栗のように若かった時~、
是非ヤリたかったよ~
ああ、年を取ってしまったことだな~

それを聞いて、赤猪子は涙をさめざめと流しました。そして、雄略天皇に歌を返します。

みもろの神様にお仕えして~
玉垣を築いたが、
築き過ごして、
もう年を取りすぎた~
今さら誰に頼ることができましょう~、
神に仕えてきた私~

また、赤猪子は歌います。

日下江の入り江の蓮よ~
その蓮の花のように盛りの人~
皇后のワカクサカちゃんのなんと羨ましいことよ~

そこで天皇は多くの品物を赤猪子に賜って、家に帰してあげました。

雄略天皇が吉野宮に行かれた時、吉野川のほとりに乙女がいた。大変な美乙女だったので、その場でヤッて、その後、宮殿に帰りました。

後日、また吉野に行った時、その乙女に会い、天皇は椅子に座り、琴を弾いて、乙女には舞を舞わせました。その舞が見事だったので、雄略天皇が歌った歌。

椅子に腰をかけて、
神であるオレが自らの手で弾く琴に合わせて~
舞を舞う女よ~、
永遠に若くあってほしい~な

若さを強調しているところなど、赤猪子のことが念頭にあったでしょうか。

さらにまた、雄略天皇が吉野で狩りをしている時、天皇が椅子に座っていると、アブが天皇の腕をかみました。トンボが来て、そのアブを食って飛んでいきました。その時、雄略天皇がお読みになった歌は。

吉野に猪がいると言ったのは誰だ~
天下を統べる天皇は、
猪を待つと椅子に座っていると~
白い織物のお袖から出ている腕にアブが取り付き、
そのアブをトンボが早食い~
だから、だから、この大和の国を~
蜻蛉島(あきつしま)というんだよ~

※画像は、「赤猪子 雄略天皇」Google画像検索結果のキャプチャー

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【関連キャラ】
雄略天皇 - 古事記後半の主役は、傍若無人な暴君 
アカイコ - 無常! 暴君・雄略に青春を奪われた姫
ワカクサカ - 暴君・雄略を馭するほどのほっこり姫

【古事記の神・人辞典】
雄略天皇
アカイコ
ワカクサカ

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