波多毘能大郎子(はたびのおおいらつこ)

またの名を大日下王(おおくさかのみこ)。

『古事記』に記載のある男性皇族。

父は第16代仁徳天皇、母はその妃の一人であるカミナガヒメ。第一子。

同母妹にワカクサカがいる。

妻はナガタノ、子にマヨワがいる。

第20代安康天皇が実弟である大長谷命(後の第21代雄略天皇)のために、妹ワカクサカを嫁にもらいたいと、根臣を使者に遣わして、意向を聞いてきた。それに対して、

「そのようなご大命もあろうかと、外に出すことなく大事に育ててきた。畏れ多いことですが、ご命令のままに」

と快諾。しかし言葉だけでは感謝の意が伝わらないことを恐れ、宝玉がたくさんついた冠を贈り物として付けた。

この宝玉がたくさんついた冠の横領を図った根臣は安康天皇に復命し、「オレっちの大事な妹・ワカクサカが、同族の輩に組み敷かれてチョメチョメさせられるなんてもってのほかさ、とかほざいておりましたぜ、へっへっへっ」と偽りの報告。

激怒した安康天皇によって、誅される。妻のナガタノは安康天皇によって奪われ、後にその皇后となる。マヨワはその連れ子となって、後に父の仇である安康天皇を暗殺する。

なお、妻のナガタノは、史上では第17代履中天皇の皇女とされるが、古事記ではそれに該当する皇女は出てこない。同名としては、第19代允恭天皇の皇女にその名が出てくる。ただし、そうすると安康天皇とナガタノは実の姉弟同士となり、安康天皇がナガタノを皇后に据えることは現実的ではないようにみえる。

【主な登場場面】
珍しく建国神話らしい逸話 - 「かまどの煙が見えないから3年間無税ね」の仁徳天皇
佞臣の讒言を信じて忠臣を殺した安康天皇は、連れ子に仇討されて果てる

【関連キャラ】
オオクサカ - 日本史上初の讒言による冤罪で処刑される